Function
Function オブジェクトについて
4D.Function
オブジェクトにはコードが格納されています。このコードは ()
演算子を使用して、または apply()
や call()
関数を使用して呼び出すことができます。 4D では 3種類の Function
オブジェクトが利用できます:
- ネイティブ関数 (
collection.sort()
やfile.copyTo()
などの 4Dクラスにビルトインされた関数)。 - ユーザー関数 (ユーザークラス において Function キーワードを使って作成されたもの)。
- フォーミュラ関数 (4Dフォーミュラを実行するもの)。
Formula オブジェクト
Formula あるいは Formula from string コマンドを使用すると、4D.Function
オブジェクト を作成することができ、それによってあらゆる 4D式やテキストとして表されたコードを実行することが可能です。
Formulaオブジェクトは、オブジェクトプロパティに格納することができます。
var $f : 4D.Function
$f:=New object
$f.message:=Formula(ALERT("Hello world"))
このようなプロパティは "オブジェクト関数"、つまり親オブジェクトに紐づいた関数です。 オブジェクトプロパティに保存されている関数を実行するには、プロパティ名のあとに () をつけます:
$f.message() // "Hello world" を表示します
大カッコを使用したシンタックスもサポートされます:
$f["message"]() // "Hello world" と表示します
たとえ引数を受け取らなかったとしても (後述参照)、オブジェクト関数を実行するためにはカッコ ( ) をつけて呼び出す必要があるという点に注意してください。 オブジェクトプロパティのみを呼び出した場合、フォーミュラへの新しい参照が返されます (そしてフォーミュラは実行はされません):
$o:=$f.message // $o にはフォーミュラオブジェクトが返されます
apply()
および call()
関数を使って関数を実行することもできます:
$f.message.apply() // "Hello world!" を表示します
引数の受け渡し
フォーミュラには、順番引数シンタックス $1, $2...$n を使用して引数を渡すことができます。 たとえば:
var $f : Object
$f:=New object
$f.message:=Formula(ALERT("Hello "+$1))
$f.message("John") // "Hello John" を表示します
あるいは、.call() 関数を使用して:
var $f : Object
$f:=Formula($1+" "+$2)
$text:=$f.call(Null;"Hello";"World") // "Hello World" を返します
$text:=$f.call(Null;"Welcome to";String(Year of(Current date))) // "Welcome to 2019" (例) を返します
単一メソッド用の引数
利便性のために、フォーミュラが単一のプロジェクトメソッドから作成された場合には、引数はフォーミュラオブジェクトの初期化では省略することができます。 省略された引数は、フォーミュラを呼び出す時に一緒に渡すことができます。 例:
var $f : 4D.Function
$f:=Formula(myMethod)
// ここで Formula(myMethod($1;$2) と書く必要はありません
$text:=$f.call(Null;"Hello";"World") // "Hello World" を返します
$text:=$f.call() // "How are you?" を返します
//myMethod
#DECLARE ($param1 : Text; $param2 : Text)->$return : Text
If(Count parameters=2)
$return:=$param1+" "+$param2
Else
$return:="How are you?"
End if
引数はメソッド内において、呼び出し時に指定した順で受け取られます。
概要
.apply() : any .apply( thisObj : Object { ; formulaParams : Collection } ) : any 対象の Formula オブジェクトを実行し、その結果の値を返します |
.call() : any .call( thisObj : Object { ; ...params : any } ) : any 対象の Formula オブジェクトを実行し、その結果の値を返します |
.source : Text 対象フォーミュラのテキスト型のソース式を格納します |
Formula
履歴
リリース | 内容 |
---|---|
17 R6 | 名称変更 (New formula -> Formula) |
17 R3 | 追加 |
Formula ( formulaExp : Expression ) : 4D.Function
引数 | 型 | 説明 | |
---|---|---|---|
formulaExp | 式 | -> | オブジェクトとして返されるフォーミュラ |
戻り値 | 4D.Function | <- | フォーミュラを格納しているネイティブな Function オブジェクト |
|
説明
Formula
コマンドは、 formulaExp の式に基づいた 4D Function
オブジェクトを作成します。 formulaExp には単一の値のようにシンプルなものから、引数を持つプロジェクトメソッドのように複雑なものまで指定することができます。
フォーミュラがオブジェクトとして存在することで、コマンドやメソッドに対して引数 (計算された属性) として渡したり、"コンポーネントとホストデータベース間で共有" として宣言せずとも様々なコンポーネントから実行したりできるようになります。 呼び出されたフォーミュラオブジェクトは、それを作成したデータベースあるいはコンポーネントのコンテキストにおいて評価されます。
返されたフォーミュラは以下の方法で呼び出すことが可能です:
.call()
あるいは.apply()
関数- オブジェクト記法シンタックス (Formula オブジェクト 参照)
var $f : 4D.Function
$f:=Formula(1+2)
$o:=New object("myFormula";$f)
// フォーミュラを呼び出す 3つの方法
$f.call($o) // 3 を返します
$f.apply($o) // 3 を返します
$o.myFormula() // 3 を返します
フォーミュラには 引数 を渡すことができます (例題4 参照)。
フォーミュラの実行対象となるオブジェクトを指定することができます (例題5 参照)。 このオブジェクトのプロパティは、This
コマンドでアクセス可能です。
formulaExp がローカル変数を使用する場合、返されるフォーミュラオブジェクトの作成時にその値がそこにコピーされ保存されます。 実行時、フォーミュラはそのローカル変数の現在値ではなく、コピーされた値を使用します。 ローカル変数として配列を使用することはサポートされていない点に注意してください。
Formula
によって作成されたオブジェクトは、たとえばデータベースのフィールドや Blob ドキュメントなどに保存可能です。
例題 1
単純なフォーミュラの例:
var $f : 4D.Function
$f:=Formula(1+2)
var $o : Object
$o:=New object("f";$f)
$result:=$o.f() // 3 を返します
例題 2
ローカル変数を使用するフォーミュラの例:
$value:=10
$o:=New object("f";Formula($value))
$value:=20
$result:=$o.f() // 10 を返します
例題 3
引数を用いたシンプルなフォーミュラの例:
$o:=New object("f";Formula($1+$2))
$result:=$o.f(10;20) // 30 を返します
例題 4
引数を用いたプロジェクトメソッドを使用する例:
$o:=New object("f";Formula(myMethod))
$result:=$o.f("param1";"param2") // $result:=myMethod("param1";"param2") と同等です
例題 5
This
を使用する例:
$o:=New object("fullName";Formula(This.firstName+" "+This.lastName))
$o.firstName:="John"
$o.lastName:="Smith"
$result:=$o.fullName() // "John Smith" を返します
例題 6
オブジェクト記法を使用してフォーミュラを呼び出す例:
var $feta; $robot : Object
var $calc : 4D.Function
$robot:=New object("name";"Robot";"price";543;"quantity";2)
$feta:=New object("name";"Feta";"price";12.5;"quantity";5)
$calc:=Formula(This.total:=This.price*This.quantity)
// フォーミュラをオブジェクトプロパティに設定します
$feta.calc:=$calc
$robot.calc:=$calc
// フォーミュラを呼び出します
$feta.calc() // $feta={name:Feta,price:12.5,quantity:5,total:62.5,calc:"[object Formula]"}
$robot.calc() // $robot={name:Robot,price:543,quantity:2,total:1086,calc:"[object Formula]"}
Formula from string
履歴
リリース | 内容 |
---|---|
17 R6 | 名称変更 (New formula from string -> Formula from string) |
17 R3 | 追加 |
Formula from string( formulaString : Text ) : 4D.Function
引数 | 型 | 説明 | |
---|---|---|---|
formulaString | Text | -> | オブジェクトとして返されるフォーミュラ文字列 |
戻り値 | 4D.Function | <- | フォーミュラを格納しているネイティブなオブジェクト |
|
説明
Formula from string
コマンドは、 formulaString に基づいた 4D.Function
オブジェクトを作成します。 formulaString には単一の値のようにシンプルなものから、引数を持つプロジェクトメソッドのように複雑なものまで指定することができます。
このコマンドは Formula
に似ていますが、テキストに基づいたフォーミュラを扱う点が異なります。 多くの場合において、Formula
コマンドの使用が推奨されます。 Formula from string
コマンドは、元となるフォーミュラがテキストとして表現されている場合 (例: 外部の JSON ファイルに保存されていた場合など) にのみ使用されるべきです。 このコンテキストにおいては、トークンシンタックスの使用が強く推奨されます。
ローカル変数の中身はコンパイル済みモードでは名前によるアクセスが不可能なため、formulaString 引数内で使用することはできません。
Formula from string
コマンドを使用してローカル変数にアクセスを試みた場合、エラー(-10737) が生成されます。
例題
以下のコードは、テキストフォーマットのフォーミュラを受け入れるダイアログを作成し、:
var $textFormula : Text
var $f : 4D.Function
$textFormula:=Request("フォーミュラを入力してください")
If(ok=1)
$f:=Formula from string($textFormula)
ALERT("結果 = "+String($f.call()))
End if
そのフォーミュラを実行します:
.apply()
履歴
リリース | 内容 |
---|---|
17 R3 | 追加 |
.apply() : any
.apply( thisObj : Object { ; formulaParams : Collection } ) : any
引数 | 型 | 説明 | |
---|---|---|---|
thisObj | Object | -> | フォーミュラ内で This コマンドによって返されるオブジェクト |
formulaParams | Collection | -> | フォーミュラが実行される際に $1...$n として渡される値のコレクション |
戻り値 | any | <- | フォーミュラの実行結果 |
|
説明
.apply()
関数は、 対象の Formula
オブジェクトを実行し、その結果の値を返します。 Formula
あるいは Formula from string
コマンドで作成されたフォーミュラが使用可能です。
thisObj には、フォーミュラ内で This
として使用されるオブジェクトへの参照を渡すことができます。
任意の formulaParams 引数を渡すことで、フォーミュラ内で $1...$n の引数として使用されるコレクションを渡すこともできます。
.apply()
は .call()
と似ていますが、引数をコレクションとして渡す点が異なります。 これは計算された結果を渡すのに便利です。
例題 1
var $f : 4D.Function
$f:=Formula($1+$2+$3)
$c:=New collection(10;20;30)
$result:=$f.apply(Null;$c) // 60 を返します
例題 2
var $calc : 4D.Function
var $feta; $robot : Object
$robot:=New object("name";"Robot";"price";543;"quantity";2)
$feta:=New object("name";"Feta";"price";12.5;"quantity";5)
$calc:=Formula(This.total:=This.price*This.quantity)
$calc.apply($feta) // $feta={name:Feta,price:12.5,quantity:5,total:62.5}
$calc.apply($robot) // $robot={name:Robot,price:543,quantity:2,total:1086}
.call()
履歴
リリース | 内容 |
---|---|
17 R3 | 追加 |
.call() : any
.call( thisObj : Object { ; ...params : any } ) : any
引数 | 型 | 説明 | |
---|---|---|---|
thisObj | Object | -> | フォーミュラ内で This コマンドによって返されるオブジェクト |
params | any | -> | フォーミュラが実行される際に $1...$n として渡される値 |
戻り値 | any | <- | フォーミュラの実行結果 |
|
説明
.call()
関数は、 対象の Formula
オブジェクトを実行し、その結果の値を返します。 Formula
あるいは Formula from string
コマンドで作成されたフォーミュラが使用可能です。
thisObj には、フォーミュラ内で This
として使用されるオブジェクトへの参照を渡すことができます。
任意の params 引数を渡すことで、フォーミュラ内で $1...$n の引数として使用される値を渡すこともできます。
.call()
は .apply()
と似ていますが、引数を直接渡す点が異なります。
例題 1
var $f : 4D.Function
$f:=Formula(Uppercase($1))
$result:=$f.call(Null;"hello") // "HELLO" を返します
例題 2
$o:=New object("value";50)
$f:=Formula(This.value*2)
$result:=$f.call($o) // 100 を返します
.source
履歴
リリース | 内容 |
---|---|
18 R2 | 追加 |
.source : Text
説明
.source
プロパティは、 対象フォーミュラのテキスト型のソース式を格納します。
このプロパティは 読み取り専用 です。
例題
var $of : 4D.Function
var $tf : Text
$of:=Formula(String(Current time;HH MM AM PM))
$tf:=$of.source //"String(Current time;HH MM AM PM)"