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バージョン: 20 R10

エンティティイベント

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リリース内容
20 R10touched イベント追加

エンティティイベントとは、エンティティやエンティティ属性が操作(追加、削除、変更)されるたびに ORDA によって自動的に呼び出される関数です。 シンプルなイベントを書き、それをより洗練されたものに変えていくことができます。

イベント関数の実行は直接トリガーすることはできません。 イベントは、ユーザーアクションや、エンティティまたはその属性に対するコードを通して実行された操作に基づいて、ORDA によって自動的に呼び出されます。

互換性に関する注意

データストアにおける ORDA エンティティイベントは、4D データベースにおけるトリガに相当します。 しかしながら、4D クラシックランゲージコマンドを使用して 4D データベースレベルでトリガーされたアクション、あるいは標準アクションは、ORDA イベントをトリガーしません。 また、トリガとは異なり、ORDA エンティティイベントはエンティティを保存または削除する際に、データクラスの元となるテーブル全体をロックしないことに注意して下さい。 個別のエンティティ(つまりレコード)に起因している限りは、複数のイベントが同時に実行されることが可能です。

概要

イベントレベル

エンティティイベント関数は必ずEntity クラス 内で定義されます。

イベントは エンティティ レベルまたは 属性 レベルで設定することができます(属性には 計算属性 も含まれます)。 前者の場合、エンティティのあらゆる属性でイベントがトリガーされます。それ以外の場合、イベントは対象となる属性に対してのみトリガーされます。

同じイベントに対して、異なる属性に対して異なる関数を定義することができます。

また同じイベントを属性レベルとエンティティレベルの両方で定義することも可能です。 その場合、属性イベントが先に呼ばれ、その後にエンティティイベントが呼ばれます。

リモート構成における実行

一般的に、ORDA イベントはサーバー上で実行されます。

しかしながらクライアント/サーバー構成においては、local キーワードの使用によっては、touched() イベント関数をサーバーまたはクライアントで実行することが可能です。 クライアント側で特定の実装をすることにより、イベントをクライアント上でトリガーすることができるようになります。

ORDA constructor() 関数は必ずクライアント上で実行されます。

他のリモート設定(例: Qodly アプリケーション、REST API リクエスト、あるいはOpen datastore を通したリクエスト) では、touched() イベント関数は必ずサーバー側で実行されます。 これはつまり、イベントがトリガーされるためには、属性がタッチされたということを必ずサーバーが"見える"ようにしておかなければならないということを意味します(以下参照)。

概要表

以下の表は、ORDA エンティティイベントの一覧とそのルールをまとめたものです。

イベントレベル関数名(C/S の場合) 実行される場所
エンティティのインスタンス化Entityconstructor()client
属性がタッチされた属性event touched <attrName>()local キーワードによる
Entityevent touched()local キーワードによる

constructor() 関数は実際にはイベント関数ではありませんが、エンティティがインスタンス化される際に必ず呼び出されます。

event 引数

イベント関数は、単一の event オブジェクトを引数として受け取ります。 関数が呼び出されると、引数には複数のプロパティに値が入れられます:

プロパティ名利用可能性説明
kind常に文字列イベント名("touched")
attributeName属性に関するイベントのみ文字列属性名 ( "firstname")
dataClassName常に文字列データクラス名 ( "Company")

イベント関数の詳細

Function event touched

シンタックス

{local} Function event touched($event : Object)
{local} Function event touched <attributeName>($event : Object)
// コード

このイベントはエンティティ内の値が編集されるたびにトリガーされます。

  • 関数をエンティティレベルで定義していた場合(第一シンタックス)、その関数はエンティティの任意の属性における変更に対してトリガーされます。
  • 関数を属性レベルで定義していた場合(第二シンタックス)、関数はその属性に対する変更に対してのみトリガーされます。

このイベントは4D Server / 4Dエンジンが属性値の変更を検知するとすぐにトリガーされます。この変更は、以下のようなアクションによって引き起こされます:

  • local キーワード を使用したクライアント/サーバー あるいは シングルユーザーモードの4D:
    • ユーザーが4D フォーム上で値を設定した
    • 4D コードが := 演算子によって代入を行った。 このイベントは自己代入の場合にもトリガーされます($entity.attribute:=$entity.attribute)。
  • local キーワード を使用しないクライアント/サーバー: := 演算子によって代入を行う一部の4D コードは、サーバー上で実行されます
  • local キーワードを使用しないクライアント/サーバーQodly アプリケーション および リモートデータストア: ORDA 関数(エンティティ上の関数あるいはエンティティを引数として使用する関数)を呼び出した場合にはエンティティは4D Server に受信されます。 これはつまり、リモートアプリケーション側にrefresh あるいは preview 関数を実装することでORDA リクエストをサーバーに送信し、イベントをトリガーするようにする必要があるかもしれない、ということです。
  • REST サーバー: 値は REST サーバーに、REST リクエスト ($method=update) とともに受信されます。

関数は event オブジェクト を引数として受け取ります。

このイベントがエラーをthrow する場合でも、進行中のアクションは停止しません。

このイベントは以下の場合にもトリガーされます:

例題 1

エンティティが更新されたときに、エンティティ内のテキスト属性を全て大文字に変換したい場合を考えます。

    //ProductsEntity class
Function event touched($event : Object)

If (Value type(This[$event.attributeName])=Is text)
This[$event.attributeName]:=Uppercase(This[$event.attributeName])
End if

例題 2

"touched" イベントは、計算属性に対してFunction query() 内でインデックスクエリコードを書くことが不可能な場合にとても有用です。

これは例えば、query 関数が同じエンティティの異なる属性の値どうしを比較したいような場合です。 これは返されたORDA クエリ内でフォーミュラを使う必要があり、結果としてシーケンシャルクエリをトリガーすることになります。

このような場合を完全に理解するために、以下の2つの計算属性について調べてみましょう:

Function get onGoing() : Boolean
return ((This.departureDate<=Current date) & (This.arrivalDate>=Current date))

Function get sameDay() : Boolean
return (This.departureDate=This.arrivalDate)

たとえ非常に似ていたとしても、これらのクエリは同じ型の値を比較している訳ではないため、これらの関数を同一のクエリと関連づけることはできません。 前者は属性を与えられた値と比較する一方、後者は属性どうしを比較します。

  • onGoing 属性に対しては、query 関数をシンプルに書くことができ、またインデックス付きの属性を使用します:
Function query onGoing($event : Object) : Object
var $operator : Text
var $myQuery : Text
var $onGoingValue : Boolean
var $parameters : Collection
$parameters:=New collection()

$operator:=$event.operator
Case of
: (($operator="=") | ($operator="==") | ($operator="==="))
$onGoingValue:=Bool($event.value)
: (($operator="!=") | ($operator="!=="))
$onGoingValue:=Not(Bool($event.value))
Else
return {query: ""; parameters: $parameters}
End case

$myQuery:=($onGoingValue) ? "departureDate <= :1 AND arrivalDate >= :1" : "departureDate > :1 OR arrivalDate < :1"
// ORDA クエリ文字列はインデックス付き属性を使用するので、インデックスがつけられます
$parameters.push(Current date)
return {query: $myQuery; parameters: $parameters}
  • sameDay 属性に対しては、query 関数はフォーミュラに基づいたORDA クエリを必要とするため、検索はシーケンシャルに行われます:
Function query sameDay($event : Object) : Text
var $operator : Text
var $sameDayValue : Boolean

$operator:=$event.operator
Case of
: (($operator="=") | ($operator="==") | ($operator="==="))
$sameDayValue:=Bool($event.value)
: (($operator="!=") | ($operator="!=="))
$sameDayValue:=Not(Bool($event.value))
Else
return ""
End case

return ($sameDayValue) ? "eval(This.departureDate = This.arrivalDate)" : "eval(This.departureDate != This.arrivalDate)"
// ORDA クエリ文字列はフォーミュラを使用するため、インデックスはつけられません

  • しかし他の属性が"タッチ"されたときに更新されるスカラー値の sameDay 属性を使用することで、時間を節約することができます:
    //BookingEntity class

Function event touched departureDate($event : Object)

This.sameDay:=(This.departureDate = This.arrivalDate)
//
//
Function event touched arrivalDate($event : Object)

This.sameDay:=(This.departureDate = This.arrivalDate)

例題 3 (図): local キーワードを用いたクライアント/サーバー:

例題 4 (図): local キーワードを用いないクライアント/サーバー

例題 5 (図): Qodly アプリケーション