インタープリターモードとコンパイル済みモード
4D アプリケーションは インタープリター または コンパイル済み モードで実行することができます:
- インタープリターモードにおいて、コードは実行時に読み込まれてマシン語に翻訳されます。 コードはいつでも追加・変更することができ、アプリケーションは自動的に更新されます。
- コンパイル済みモードにおいては、コンパイル時にすべてのコードが一括で読み込まれて翻訳されます。 コンパイル後のアプリケーションにはアセンブリレベルの指示のみが残され、コード編集はできません。
コンパイルには以下のようなメリットがあります:
- 速度: アプリケーションの実行速度を3倍から1000倍速くします。
- コードチェック: アプリケーションコードの整合性をチェックし、 論理的矛盾や構文的矛盾を検出します。
- 保護: アプリケーションをコンパイルすると、インタープリターコードを削除できます。 コンパイルされたアプリケーションは、故意的にも不注意からもストラクチャーやメソッドの表示・修正ができないこと以外は、オリジナルのアプリケーションと同じに動作します。
- ダブルクリックで起動するアプリケーション: コンパイル後のアプリケーションは、独自のアイコンを持つスタンドアロンアプリケーションに作り変えることもできます。
- プリエンプティブモードでの実行: プリエンプティブプロセスとして実行できるのは、コンパイルされたコードに限られます。
インタープリターコードとコンパイル済みコードの違い
アプリケーションの動作は同じであっても、インタープリターモードとコンパイル済みモードにはいくつかの相違点があり、コンパイルされるコードを書くにあたってはこれらを意識しておく必要があります。 基本的に、4D のインタープリターはコンパイラーより柔軟です。
コンパイル済みコード | インタープリターコード |
---|---|
変数名とメソッド名が被ってはいけません。 | エラーは生成されませんが、メソッドが優先されます。 |
すべての変数は、var や #Declare 、Function キーワードを使った宣言によって、あるいはコンパイル時にコンパイラーによって、型指定されなければなりません。 | 変数の型は実行中に決定していくことができます (推奨されません) |
変数や配列のデータタイプは変更できません。 | 変数や配列のデータタイプは変更可能です (推奨されません) |
1次元配列を2次元配列に、また2次元配列を1次元配列に変更することはできません。 | 可能です。 |
コンパイラーにより変数のタイプ定義はおこなわれますが、フォーム上の変数のようにデータタイプが明確でない場合は、宣言によって変数のデータタイプを指定するべきです。 | |
Undefined 関数は、常に False を返します。 変数は常に定義されています。 | |
メソッドの "プリエンプティブプロセスで実行可能" プロパティにチェックを入れていた場合、コードは他のスレッドアンセーフなコマンドやメソッドを呼び出してはいけません。 | プリエンプティブプロセスプロパティは無視されます。 |
特定のループの場合、割り込みを可能にするには IDLE コマンドが必要です。 | いつでも割り込み可能です。 |
インタープリターでコンパイラー指示子を使用する場合
コンパイルしないアプリケーションには、コンパイラー命令は必須ではありません。 インタープリターは、各ステートメントにおける変数の使い方に準じて自動的に変数の型を設定し、アプリケーションプロジェクト内の変数の型を変えることができます。
インタープリターがこのように柔軟に対応するので、インタープリターモードとコンパイル済みモードでは、アプリケーションの動作が異なることがあります。
たとえば、あるところでは次のように記述して:
var MyInt : Integer
プロジェクトの他の場所では、下記のように記述した場合:
MyInt:=3.1416
この例では、コンパイラー指示子が代入ステートメントより 先に 解釈されれば、インタープリターでもコンパイル後でも Myint
には同じ値 (3) が代入されます。
4D のインタープリターは、コンパイラー指示子を使用して変数の型を定義します。 コード内でコンパイラー指示子が検出されると、インタープリターはそれに従って変数の型を定義します。 それ以降のステートメントで間違った値を代入しようとすると (たとえば、数値変数に文字を割り当てるなど)、代入はおこなわれず、エラーが生成されます。
コンパイラーにとっては、この2つのステートメントのどちらが先に表示されても問題ではありません。はじめにプロジェクト全体を調べてコンパイラー指示子を探すからです。 しかし、インタープリターは系統立てて処理するわけではなく、 実行される順にステートメントを解釈します。 ユーザーが何をおこなうかによって、この順序は当然異なります。 したがって、常にコンパイラー指示子によって型定義してから変数を使用するようプロジェクトを計画することが肝心です。
ポインターの使用で型の矛盾を避ける
変数の型は変更することができません。 しかし、ポインターを活用して異なるデータ型の変数を参照することはできます。 たとえば、次のコードはインタープリターおよびコンパイル済みモードの両方で動作します:
var $p : Pointer
var $name : Text
var $age : Integer
$name:="Smith"
$age:=50
$p:=->$name // テキストへのポインター
$p->:="Wesson" // テキスト値の代入
$p:=->$age
// 数値へのポインターに変更
$p->:=55 // 数値の代入
値の型に関わらず、その値の長さ (文字の数) を返す関数を考えてみましょう:
// Calc_Length 文字の数を返す関数
// $vp = 数値、テキスト、時間、ブール型の変数へのポインター
#DECLARE($vp : Pointer) -> $length : Integer
var $result : Text
$result:=String($vp->)
$length:=Length($result)
この関数は次のように使えます:
$var1:="my text"
$var2:=5.3
$var3:=?10:02:24?
$var4:=True
$vLength:=Calc_Length(->$var1)+Calc_Length(->$var2)+Calc_Length (->$var3)+Calc_Length(->$var4)
ALERT("長さの合計: "+String($vLength))