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バージョン: 開発中

フォームエディターマクロ

4D のフォームエディターはマクロをサポートしています。 1つ以上のアクションを実行するための指示をマクロと呼びます。 呼び出されると、マクロは登録された指示を実行し、自動的に指定のアクションをおこないます。

たとえば、定期レポートに特定のフォーマットが指定されている場合 (例: テキストによってフォントカラーが赤や緑であるなど)、マクロを作成してフォントカラーの設定を自動でおこなうことができます。 4Dフォームエディターのマクロでは、次のことがおこなえます:

  • 4Dコードを作成・実行する
  • ダイアログを表示する
  • オブジェクトを選択する
  • フォームやフォームオブジェクトおよびそれらのプロパティを追加・編集・削除する
  • プロジェクトファイルを編集する (更新・削除)

フォームエディター用のカスタム機能を定義するため、マクロコードは クラス関数JSON のフォームオブジェクトプロパティ を使用できます。

ホストプロジェクトおよび、プロジェクト内のコンポーネントにてマクロを定義することができます。 通常は開発用のコンポーネントにマクロをインストールして使用します。

マクロが呼び出されると、指定されている既存の動作はマクロによってオーバーライドされます。

例題

フォームの左上に "Hello World" アラートボタンを追加するマクロを作成します。

  1. プロジェクトの Sources フォルダー内に配置された formMacros.json ファイルに、次のように書きます:
{
"macros": {
"Add Hello World button": {
"class": "AddButton"
}
}
}
  1. 次に、AddButton という名前の 4Dクラスを作成します。

  2. AddButton クラスに次の関数を定義します:

Function onInvoke($editor : Object)->$result : Object

var $btnHello : Object

// "Hello" ボタンを作成します
$btnHello:=New object("type"; "button"; \
"text"; "Hello World!"; \
"method"; New object("source"; "ALERT(\"Hello World!\")"); \
"events"; New collection("onClick"); \
"width"; 120; \
"height"; 20; \
"top"; 0; \
"left"; 0)

// 現在のページにボタンを追加します
$editor.editor.currentPage.objects.btnHello:=$btnHello

// フォームエディター上で新規作成したボタンを選択します
$editor.editor.currentSelection.clear() //unselect elements
$editor.editor.currentSelection.push("btnHello")

// 4D に変更内容を通知します
$result:=New object("currentSelection"; $editor.editor.currentSelection;\
"currentPage"; $editor.editor.currentPage)

マクロを呼び出します:

フォームエディターでマクロを呼び出す

4Dプロジェクトにマクロが定義されていると、フォームエディターのコンテキストメニューを使ってマクロを呼び出すことができます:

このメニューは formMacros.json マクロ定義ファイル をもとに作成されています。 マクロメニュー項目は ABC順に表示されます。

このメニューは、フォームエディター内で右クリックにより開くことができます。 選択オブジェクトがある状態や、フォームオブジェクトの上でマクロを呼び出した場合は、それらのオブジェクト名がマクロの onInvoke 関数の $editor.currentSelection$editor.target パラメーターに受け渡されます。

1つのマクロによって複数の処理を実行することができます。 マクロで実行した処理は、フォームエディターの 取り消し 機能でもとに戻すことができます。

マクロファイルの場所

4Dフォームエディターマクロは、プロジェクトあるいはコンポーネントごとに 1つの JSONファイルによって定義されます: FormMacros.json

このファイルは、ホストまたはコンポーネントプロジェクトの Project > Sources フィルダーに配置しなければなりません:

マクロの宣言

formMacros.json ファイルの構造は次の通りです:

{
"macros": {
<macroName>: {
"class": <className>,
<customProperty> : <value>
}
}
}

JSONファイルの説明です:

属性説明
macrosobject定義されたマクロのリスト
<macroName>objectマクロ定義
classstringマクロクラス名
<customProperty>any(任意) コンストラクターによって取得するカスタム値

カスタムプロパティはマクロの constructor 関数に受け渡されます。

例題

{
"macros": {
"Open Macros file": {
"class": "OpenMacro"
},
"Align to Right on Target Object": {
"class": "AlignOnTarget",
"myParam": "right"
},
"Align to Left on Target Object": {
"class": "AlignOnTarget",
"myParam": "left"
}
}
}

マクロのインスタンス化

プロジェクトおよびコンポーネントにおいてインスタンス化するマクロは、それぞれ 4Dクラス として宣言する必要があります。

クラスの名称は、formMacros.json ファイルで class 属性に定義した名前と同一でなくてはなりません。

マクロは、アプリケーションの起動時にインスタンス化されます。 そのため、関数の追加やパラメーターの編集など、マクロクラスの構造や その コンストラクター になんらかの変更を加えた場合には、それらを反映するにはアプリケーションを再起動する必要があります。

マクロ関数

マクロクラスは、1つの Class constructor のほかに、onInvoke() および onError() という 2つの関数を持つことができます。

Class constructor

Class constructor($macro : Object)

引数説明
$macroObjectformMacros.json ファイルのマクロ宣言オブジェクト

Class constructor 関数が定義されている場合、マクロはそれによってインスタンス化されます。

アプリケーションの起動時にクラスがインスタンス化される際に、このコンストラクターが呼び出されます。

マクロの宣言 に追加したカスタムプロパティは、クラスコンストラクターが引数として受け取ります。

例題

formMacros.json ファイルに次のようなマクロ宣言をした場合:

{
"macros": {
"最後に選択したオブジェクトを基準に左揃え": {
"class": "AlignOnTarget",
"myParam": "left"
}
}
}

以下のように書くことができます:

// クラス "AlignOnTarget"
Class constructor($macro : Object)
This.myParameter:=$macro.myParam // left ...

onInvoke()

onInvoke($editor : Object) -> $result : Object

引数説明
$editorObjectフォームプロパティを格納する Form Editor Macro Proxy オブジェクト
$resultObjectマクロによって変更されたフォームプロパティ (任意)

マクロが呼び出されるたびに、onInvoke 関数が自動的に実行されます。

呼び出しの際、関数は $editor.editor プロパティに、フォームの全要素とそれらの現在値のコピーを受け取ります。 つまり、これらのプロパティに対して、任意の処理を実行することができます。

マクロによってオブジェクトを変更・追加・削除した場合、操作を反映させるには最後に結果のプロパティを $result に返します。 返されたプロパティは解析され、フォームに対して変更が適用されます。 戻り値に含まれるプロパティが少ないほど、この処理にかかる時間も削減されます。

$editor 引数にて渡されるプロパティは次の通りです:

プロパティ説明
$editor.editor.formObjectフォーム全体
$editor.editor.fileFileフォームファイルの Fileオブジェクト
$editor.editor.nameTextフォームの名称
$editor.editor.tablenumberフォームのテーブル番号。プロジェクトフォームの場合は 0。
$editor.editor.currentPageNumbernumber現在のページの番号
$editor.editor.currentPageObject現在のページ (フォームオブジェクトおよび入力順序を格納)
$editor.editor.currentSelectionCollection選択されているオブジェクトの名称のコレクション
$editor.editor.formPropertiesObjectカレントフォームのプロパティ
$editor.editor.targetstringマクロ呼び出し時にマウスカーソルが置かれているオブジェクトの名称

マクロによる変更をフォームに反映させたい場合に、$result オブジェクトに渡せるプロパティの一覧です。 いずれのプロパティも任意です:

プロパティ説明
currentPageObjectマクロによって変更されたオブジェクトを含む currentPage
currentSelectionCollectionマクロによって変更された currentSelection
formPropertiesObjectマクロによって変更された formProperties
editor.groupsObjectマクロによって変更されたグループ情報
editor.viewsObjectマクロによって変更されたビュー情報
editor.activeViewText有効なビュー名

たとえば、currentPage と editor.groups の内容が変わった場合には、戻り値を次のように設定します:

	$result:=New object("currentPage"; $editor.editor.currentPage ; \ 
"editor"; New object("groups"; $editor.editor.form.editor.groups))

method 属性

フォームオブジェクトの method 属性を操作する場合、属性値は2通りの方法で定義できます:

プロパティ説明
sourceTextメソッドコード

後者の場合、4D は "objectMethods" フォルダー内に当該オブジェクト名を冠したファイルを作成し、source 属性に指定したメソッドコードを格納します。 この機能はマクロコードの場合にのみ有効です。

currentPage.objects$4dId プロパティ

$4dId プロパティは、現在のページにある各オブジェクトについて一意のIDを定義します。 このキーは$result.currentPage の変更を反映させるのに使用されます:

  • フォーム上および $result 内のオブジェクトの両方で $4dId キーが存在しない場合、そのオブジェクトは作成されます。
  • フォーム上で存在する $4dId キーが、$result 内には存在しない場合、当該オブジェクトは削除されます。
  • フォーム上および $result 内のオブジェクトの両方で $4dId キーが存在する場合、そのオブジェクトは変更されます。

例題

選択されているオブジェクトに対して、フォントカラーを赤に、フォントスタイルをイタリックに変更するマクロ関数を定義します。

Function onInvoke($editor : Object)->$result : Object
var $name : Text

If ($editor.editor.currentSelection.length>0)
// 選択されている各オブジェクトの stroke 属性を red に、style 属性を italic に設定します
For each ($name; $editor.editor.currentSelection)
$editor.editor.currentPage.objects[$name].stroke:="red"
$editor.editor.currentPage.objects[$name].fontStyle:="italic"

End for each

Else
ALERT("フォームオブジェクトを選択してください。")
End if

// 4Dに変更を通知します
$result:=New object("currentPage"; $editor.editor.currentPage)

onError()

onError($editor : Object; $resultMacro : Object ; $error : Collection)

引数説明
$editorObjectonInvoke に渡されたオブジェクト
$resultMacroObjectonInvoke によって返されたオブジェクト
$errorCollectionエラースタック
[].errCodeNumberエラーコード
[].messageTextエラーの詳細
[].componentSignatureText内部コンポーネントのシグネチャー

マクロの実行時にエラーが発生した場合、onError 関数が実行されます。

マクロの実行時に発生したエラーが、マクロの取り消しを不可能にする内容の場合、マクロは実行されません。 たとえば次のような場合が該当します:

  • 読み取り専用ファイルのスクリプトを変更・削除しようとしたとき
  • 同じ内部ID を持つオブジェクトを複数作成しようとしたとき

例題

マクロクラス定義に、次のような汎用的なエラーコードを書くことができます:

Function onError($editor : Object; $resultMacro : Object; $error : Collection)
var $obj : Object
var $txt : Text
$txt:=""

For each ($obj; $error)
$txt:=$txt+$obj.message+" \n"
End for each

ALERT($txt)